今回は仙台市交通局富沢車両基地内の仙台市電保存館の保存車両を。
(2021年2月初旬訪問)
仙台市電保存館の保存車両
仙台市電1号車
(Camera:SONY α7Ⅱ Lens:Tamron SP28-75mm F2.8(A09))
1926年9月に川崎造船所で製造された仙台市電1形1号車。
戦中・戦後も改修を経て1965年まで運行され、1976年3月の仙台市電全線廃止時に合わせて製造当時の姿に復元された後に仙台市電保存館に保存された一両。
全面こそ金属板が貼られているが、それ以外は木造という大正時代の路面電車。
なお、館内写真解説コーナーによれば、この1形電車をベースとして1955年に輸送力強化のために1形電車を2両繋げて連接車両とした300形が1966年まで運行されていたそうで。
仙台市電100形123号
1952年に新潟鐵工所製で製造された仙台市電の代表的形式100形123号車。
1969年に合理化のためにワンマン化工事が行われ、1976年3月の廃止まで運行。
(一部は長崎電気軌道に譲渡されて近年まで運行された)
側面から仙台市電123号を見る。
少し見比べてみると仙台市電100形の台車と、長崎電気軌道に譲渡されて1050形として運用された仙台市電100形とは台車の形状が違うことが分かる。
(軌間の違う長崎に譲渡された際、西鉄発生品の台車に振り替えられている)
長崎から里帰りした仙台市電譲渡車はこちらから
仙台市電400形415号車
1963年に日本車輛で製造された仙台市電400形415号車。
車体こそ当時の都電8000形クローンであるが、整備性向上のために自動車と共通部品を大幅に取り入れた車両で、中には直角カルダン機構を採用した車両もある。
(この車両自体は吊り掛け駆動車だが、何と空気ばね台車を採用しているようで)
400形(直角カルダン車)台車
ルクセンブルク製レールと共に展示されている、ナニワ工機製の400形(直角カルダン車)台車。
自動車部品を採用して保守整備のしやすさを図った機構を採用している。
係の人(おそらく仙台市電OBか?)曰く「台車に乗っていいよ」と言われたので恐る恐る乗ってみると、電車の電動台車にあるはずのない自動車エンジンと同じタイミングベルトが装着されていた。
係の人曰く「自動車さえ弄れることができれば、簡単な電気の講習を受ければ3分で修理できる(誇張表現だろうが)ので整備しやすい」と言われたのであるが、どうも車が電子機器で制御されているのが当たり前の時代に生まれたアラサー世代の自分としては「車を整備する」というとエンジンなどの機械的な部分と同時に電子機器・コンピューター絡みの整備も同時に行うイメージがあるので「電気の講習?」と一瞬キョトンとなった。
キャブレター主流の時代だと電気関連の部品は少なかっただろうしなぁ……。
余談だが、00年代以降に生産された完全電子制御系の車だと、古くなって修理する際には電装系やエンジンコンピュータ(ECU)などの純正部品は部品取り廃車から剥がすんだろうか?
なおCovid-19感染予防のため車内公開は中止
仙台市電保存車は「通常ならば」展示車両の車内公開も行っているのであるが、昨今のCovid-19感染予防のために車内に立ち入ることはできないので、車内に入ることができるのはまだ先の話。
アクセス
仙台市営地下鉄南北線富沢駅から徒歩13分程度で到着。
(月曜休館・冬季期間中は土日祝のみ開館)
なお、仙台市営地下鉄南北線の1000N形も新車導入が決定した関係で「そろそろ危ない」感じを受けるのだが、南北線のちゃんと撮影できる撮影地がわからない……。