保存車めぐり

【保存車めぐり】鉄道博物館(大宮)183系・189系ランチトレイン(マリC4編成)【その26】

【保存車めぐり】鉄道博物館(大宮)183系・189系ランチトレイン(マリC4編成)【その26】
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前回に引き続き、今回も鉄道博物館(大宮、以下てっぱく)に展示されている183系・189系ランチトレイン(マリC4編成)を紹介する。
(訪問日:2023年11月中旬)

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183系・189系 ランチトレイン(マリC4編成)

183系グレードアップ編成の全体を見る

4両の車両がそれぞれ2両ずつに分離された上で、車内飲食が可能なランチトレインとなっている183系マリC4編成。
晩年は幕張車両センターで団臨用として運行された後、2010年代初頭に鉄道博物館の飲食可能車両として搬入されて現在に至る。

なお、左側の183系クハ(クハ183-1020)の車内には訪問時には入ることができなかったが、恐らくは遠足など団体客用スペースとして「現役で」使われているのかもしれない。

以前(2017年5月)の新館オープン前に同車を訪問した時も外装は錆が出て少しお疲れ気味であったが、2023年現在は晩年の幕張時代を思わせるくらいに艶がかなり色褪せているので「今後どうするつもりなんだろうか?」と思ってしまう…のであるが、同館の展示車両ということもあり管理は行き届いている。

在来線線路側に展示されているクハ183-1009・モハ189-31側を見る。
松本運転所(当時)に配置されていた分割民営化直後の1980年代末期から1990年代にかけてライバルである新宿発の中央道・関越道経由で多数運行されているハイデッカー高速バスに対抗するべく、内外装のグレードアップ工事が施された車両で、窓部分が原型に比べて大型の窓に交換されている。

訪問時、ヘッドマークは『新宿湘南ライナー』を掲示していた。
なお、活用の上で保存するにあたってはエアコンの室外機が各車2個ずつ取り付けられている。

新幹線・ニューシャトル高架側に展示されているクハ183-1020・モハ188-31を見る。
クハ183-1020は窓部分が原型サイズになっているのが特徴的である。

訪問時、ヘッドマークは『踊り子』を掲示しており、てっぱくのエントランスに展示されているEF58 61の『サロンエクスプレス踊り子』展示と連動している感を感じた。
こちらにもエアコンの室外機が同様に2個ずつ取り付けられている。

車内を見る

183系・189系グレードアップ車の内装を見る。
1980年代後期の分割民営化当初の「(国鉄時代からの巨額の負債が嵩んで)お金がないし」中で新宿発のハイデッカーで新しい高速バスには対抗しなければいけないという中での苦肉の策で、座席位置を当時流行していたハイデッカー風にしたうえで、荷物棚の素材が金属製から清潔感のあるFRP製に変更。
座席もJR東日本の特急車でおなじみのリクライニングシートにつながる一人ひとり分のスペースが確保されたリクライニングシートに変更され、変わったのは車体塗装「だけではない」ことが分かる。

本館に展示されている485系初期車のような「色が沈んだような」古ぼけたままの座席や内装から比べると雲泥の差で、まさにJR初期のイメージ刷新につながった部分もある。

また、次の駅と時刻などを案内するLED車内案内装置が車内に取り付けられており、これまた民営化後の新しい時代の内装を模索していたことが分かる。

暁

今でこそ皆スマホの画面を車内で見ているが、当時はそうではなかったしなぁ…。

車内メロディは長野エリアを走る車両ということもあり『信濃の国』をはじめ長野にちなんだメロディなどが流れていたそうで、国鉄の古臭く停滞していたイメージから変わるにはもってこいだったのかも。

細部を見る

183系グレードアップ車のトイレタンク部分はこのようになっている。
大きな車両基地で処理するまで客から「出たもの」をタンクで貯めこむのはわかるが、右側の弁をホースにつないで排出するのだろうか?

反対サイドはこのようになっている。
こちらの弁はトイレを流すための水を基地で補給する方だろうか…?

それはそうとして

国鉄の度重なる混乱と高速バス網の進展で完全に客から「見捨てられていた」JR初期、手持ちの中でできることをこなした上で客をつなぎ止め、次の時代につなげた車両である183系グレードアップ車は館内で派手な新幹線や機関車などの中にまぎれると一見地味であるが、確実にJR初期時代を代表する展示としては興味深いのかもしれない。

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この記事を書いた人
akatukidesuga

泡沫カメラ同人サークル「ジャンク難あり500円の会」主筆。

1990年生まれのアラサーちゃん、という第二次氷河期世代のあおりをモロに受けた世代でそれを引きずりながら生きている。

2020年11月より仙台市に在住(2022年秋まで)していたが、現在はチバラギに戻って求職活動中。
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