今回は、東武伊勢崎線 東向島駅直下にある東武博物館の展示車両を
(訪問日:2025年6月初旬)
東武博物館の保存車
屋内展示

東武鉄道開業時の機関車、B1形5号。
明治期の旅客用として英ピーコック社で製造された鉄道省5500形と同タイプの古典機であるが、東武はこんな古典機を1960年代の無煙化までずっと使っていたのだから物持ちの良さに驚きである。
未だに東武の主力である8000系やDRCの台車・機器流用の200系筆頭に、省エネが一層求められる2025年時点でなお電力をとにかく喰う抵抗制御車がだいたいを占めるのケチさに似たものがあるので…。

東武鉄道電化開業時に製造された木造ダブルルーフ電車、デハ1 5号車。
1960年代頃まで機関車代用や西新井工場(2004年閉鎖)の入換車として用られていたものを製造当時の姿に復元し、のちに東武博物館開業とともに移設したもの、とのこと。

デハ1 5号車の車内。
末期に入換車代用として救援機器を詰め込むにあたって内装が撤去されたものを、ここまで登場当時の姿に復元したのだなぁ、と博物館開館当時の東武鉄道の執着を感じる。

1980年代の東武、今以上にお金に余裕があったのか…?

東武5700系モハ5703の先頭部カットモデル。
廃車後、製造元であった(旧)アルナ工機(現:アルナ車体)にカットモデルで保管されていたが、その後東武博物館に移設されたもの。

東武の戦後の貨物輸送を支えたED5015。
同機の廃車こそ早かったが「似たような」東武スタイルの電気機関車は1970年代後半まで製造され、今なお三岐鉄道に譲渡された一部の車両は現役を続けている。
こういう戦後製EL、妙にアルナインで出ていそうな気がするが…。

日産製エンジン搭載の東武キャブオーバーバス。
バスの車体架装は2002年までバスの架装事業を行っていた富士重工業の前身(東京富士産業)によるものであるが、実際に車内に入ってみると

東武博物館に展示されている、東武8000系8101F(2013年廃車)のミンデンドイツ台車と床下機器。
東武8000系は東武鉄道の一時代を築いた車両ということで扱いは特別扱いなのか、現在も野田線5両化までのショートリリーフ枠として野田線で活躍する東武8111Fも東武博物館所属の「展示品」扱いである。

「博物館の展示品」を通勤輸送に使う、って何ですかね…

杉戸工場に1/3だけ重量検査用として残されていたトキ25000同型無蓋車のカットモデルと上毛電鉄のデハ103号の台車。
無蓋車カットモデルには脱線復旧用の機器が載せられている。

東武100系スペーシアの個室モックアップ。
バブル期の遺産である100系スペーシアの個室席、東武100系がN100系に置き換えられる前に一度くらいは日光・鬼怒川方面で乗ってみたいものであるが…。
中庭展示

東武初の電気機関車、ED101。
近江鉄道に譲渡された後に、2010年の東武博物館リニューアルの際に彦根から里帰りして今に至る…という経緯であるが、近江鉄道で長らく保存機扱いだった古典ELが2010年代後半に軒並み解体されたことを考えると「実に運がいい」機体、というべきか。

東武博物館への移設時に登場当初の「猫ヒゲ」姿に復元された東武5700系モハ5701。
展示後は長いこと野ざらしだったのか、塗装の艶も野田線の8000系を思わせるマットな感じになっていて「東武博物館に隣接する小学校の夏休みの際に塗装し直したほうが…」と感じたほど。

モハ5701の台車部。
東武5700系こそ基本的に吊り掛け駆動(カルダン編成も一時期存在)であるが、軸受部にローラーベアリング(NSK製)やボルスタアンカーを採用しているという高速台車開発の過渡期の車両で「この積み重ねをベースにDRCや東武8000系が生まれた」という意味では東武の歴史としては偉大な車両なのかもしれない。
屋外展示

東武1720系DRC車、クハ1721の1/3カットモデル。
訪問時は塗装中であったが、屋内からDRCの室内に入ることができる。
なお、同編成の片割れ(クハ1726)は埼玉県岩槻市の岩槻城址公園に展示されているようで、こちらも見てみたいところ。

日光軌道線203号。
日光軌道線100形(岡山電軌で一部は現役)ベースに連接構造を取り入れ、日光観光の輸送力を確保した車両であるが、こちらは他社への譲渡もなく路線廃止後に廃車となった。
こちらも、屋内から車内に入ることができる。

東武博物館本館から数ブロックほど浅草・業平橋方面に進んだ場所にあるSLスクエアにB1形6号機が展示されている。
こちらは開業当時の姿に復元された5号機とは異なり、比較的後期の姿で残されている。
高架下にあるので保存状態はまずます。
アクセス
入館料:大人200円
東武伊勢崎線(スカイツリーライン)東向島駅直結。
北千住から伊勢崎線の浅草行きの普通列車に乗ってすぐ、といったところ。
Misskeyにこの記事をシェアしよう!
